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祭囃子が聴こえる

祭囃子が聴こえる 表紙イメージ

[著者] 五十嵐丈彦/斎藤孝司

母が病気にかかり、田舎の父の実家に預けられた夏の夜、何処からともなく聞こえてきたお囃子に俊介は不安に駆られ、思わず涙ぐんだ。その母は、俊介が中学三年の夏に亡くなり、父は婿養子だったこともあり、同居の祖父母も娘の死にガッカリしたしたのか相次いで俊介が高校に入るまでの間に相次いで亡くなった。父は俊介を田舎の実家に預けることにして、俊介は高校一年の夏休み明けに神城高校に転校した。俊介が預けられた父の実家の佐々岡工務店は、古くからの大工の家柄で、俊介の曾祖父の代から続く、その町一番の老舗工務店でもあった。同族経営で、祖父母、父の長兄次兄、従兄弟も揃って勤めていて、住込みの社員もいる大家族の家だった。小さい時から剣道を嗜んできた俊介は、神城高校でも剣道部に入部し、歴史とお祭りが大好きな那賀川と知り合い、親友となる。神城高校には従兄弟の小野里薫子も居て、薫子は俊介よりも10カ月ほど早生まれなことから、何かと俊介には姉さん風を吹かせて来る。薫子は神城祭りのお囃子の部活に入っていて、同じお囃子部の栗田由紀恵を交えた4人の交際が何時とはなしに始まっていた。神城高校の剣道部は俊介が入部したことにより、インターハイで優勝するまでになるのだが、那賀川は途中から剣道よりも神城市史や神城祭りの山車作りに夢中になって、やがては神城祭りに高校生だけの山車を出品するようになる。俊介は、インターハイ、国体でどうしても勝てなかった相手に雪辱を果たしたくて、修行に励んだ。そして、那賀川と薫子が恋仲になり、引き摺られるように俊介と由紀恵も交際したのだった。そして、卒業を迎え、4人はそれぞれの道を歩み始めたのだった。卒業してから15年。俊介は新妻を伴って、神城市を訪れた。その夜、すやすやと寝息を立てる新妻に腕枕した俊介の耳に、神城祭りのお囃子が何処からともなく聞こえてきた。このストーリーは、俊介を中心に、那賀川、薫子、由紀恵に剣道や神城祭りを絡ませた青春グラフティである。

定価:660円(本体600円+税10%)