[著者] 安住雄太
これと言ってとりえのないOL、宮田信子。可もなく不可もなく誰の印象に残らないことだけが取り柄の彼女と、どこか達観したようにも見えるミステリアスな彼が誘い魅せようとするモラルハザードな世界。彼女を優しく追い詰め、調教へと誘うとする彼こと七瀬に信望を厚くよせる桂木がみせた予想外な恋心に七瀬は揺れる。実直なまでに見せる桂木の恋心に感化されるように影ながらの助言をする彼にたいして不満を抱いていたはずの彼女も、しだいに桂木の熱意に押されるように、彼女のこころもいつしか桂木を受け止めようとする。三角関係のなかで彼女がだそうとする決断と別れを自然の流れとして受け止めるしかない彼の寂しげな葛藤を彼女なりに受け止めようとする。
定価:495円(本体450円+税10%)