[著者] 冴島学
推理小説のトリックで、双子を使うのはタブー。米原拓也は、そんな話を聞いたことがあった。現実の世界で、兄が弟に成りすまして生きることは、どんな罪をもたらすものなのかと、ふと考える。孤児として施設で育った拓也と純也は、成人してから二十年近く、それぞれの人生を歩んでいた。ある日、弟が病気で兄の拓也を頼ってくる。保険証を持っていない。拓也は、安易に自分の保険証を使えばいいと、純也を拓也として入院させる。だが、純也はほどなく他界してしまう……それから……。
定価:330円(本体300円+税10%)